太陽の光をたっぷり浴びて、ゆっくり自然乾燥されたお米(はさかけ米)です。
米処の胎内市でも、はさかけ米(天日干し)を作る農家は、ほとんど見かけなくなりました。
令和3年産では、はさかけ米作りを復活させました。先代の昭和の時代以来ですから、何十年ぶりでしょう。
森の田んぼの環境で作られたコシヒカリは、毎年皆様に喜ばれておりますが、「昔に味わったピカピカしたお米」をもう一度復活させてみたい! と、挑戦することにしました。
森の田んぼ(棚田)で稔ったコシヒカリの一部を、「稲架木(はさぎ)」に掛けて約2週間、天日に干して、自然乾燥させました。
稲架木として使う木の種類は、主にハンノキやタモノキ(トネリコ)などですが、棚田で場所が狭いため、田んぼの中に、金属パイプ単管を組み上げました。
上段:棚田米 玄米、下段:はさかけ米 玄米
同じ棚田で収穫した玄米の比較です。
上段の写真は、乗用コンバイン(稲刈り機)で収穫し機械乾燥した「棚田米 玄米」です。
機械乾燥ではありますが、ゆっくりと丁寧に乾燥させ、お米の割れなどが起きないように手間をかけています。しかしながら、緑かかった色のお米が含まれます。
下段の写真は、天日干しで自然乾燥した「はさかけ米 玄米」です。緑かかた色のお米はほぼ見当たりませんでした。
写真では比較が難しいのですが、肉眼では、はさかけ米の玄米は、ツヤ、ふくらみがあると感じました。
主観になりますが、逆さにして天日に干している間に、茎に残っている養分が米粒の方に下がって追熟する、といわれているとおりではないか、と思います。
日本調理科学会の論文「米の天日干し及び熱風式機械乾燥の乾燥手法の差異が品質に及ぼす影響(2007)」では、官能検査、炊飯品質において、天日干しのお米が優れていると評価されたようです。
参考:【国立国会図書館デジタルコレクション】
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10815263_po_ART0008423901.pdf?contentNo=1&alternativeNo=